根保孝栄の文芸掲示板



カテゴリ:[ 趣味 ]


新着順:75/301


[274] 道展苫小牧支部の作品感想 その2 千代明の詩想豊かなシュールリアリズム 新人の挑戦と冒険の傷跡

投稿者: 根保孝栄・石塚邦男 投稿日:2019年 6月24日(月)10時31分32秒 KD175131208230.ppp-bb.dion.ne.jp  通報   返信・引用   編集済

・ダダやシュールリアリズムの系譜の思想や作品に興味を示さずに来た
手習い画家の作品には、現代絵画の基本的な構成要素が欠けている気がする。
これは重要なことなのだ。初期のシュールリアリズムの巨匠アンドレ・ブルトンの言葉を借りると「あなたは何者か、それを知るにはあなたが何者と付き合っているかを知ればよい」という有名な言葉があるが、画家の本質を知るには、その精神経歴を知るといい。

・その精神経歴は、作品を観れば一目瞭然なのだが、精神的教養の経歴がないのに、作品において先天的に身についたシュールの思想を体現している作家がまれにいるものだ。それが、注目の千代明という作家のデビュー当時の作品であった。
四十数年前、千代明という作家が初めて道展に出品し始めた作品を観たものだが、その二十代の初期の作品は、まさにその先天的な才能をいかんなく発揮していた作品であった。あのバブルの八十年代に彗星のごとく現れた千代明の作品に接したときの驚嘆を思い出す。

・千代明は、まさに北海道の生んだ本物のシュールリアリズム作家の一人であろう。だが、そればかりではない。彼はシュールを超えた宇宙的神仙境地を開拓している稀有の作家の一人といえることだ。
今回の作品も素材はバラエテイーに富んだ発想豊かな異次元造作である。素材を発想と結びつける詩的才覚は超人的なもので、その豊かな詩想は汲めど尽きせぬものがあるがごとしだ。

・白木里佳「スカイサウンド」は、<空の音響>とでもいう意味だろうが、拡声器のような金属打ち出しの力作。ハンマーで叩いた痕が生々しく残るところが、野性的な魅力になっていた。企業の社長室や事務所、役場の市長室の片隅に置くとダイナミックな意志力を感じさせるため、社員や職員を鼓舞する意味で象徴的作品としてうってつけか。

・安住賢一「くりかえしのかたち」は、暗喩的な立体小品なのだが、灰白色の色付けが静的な存在感を訴えかけて気になる作品。校長室のガラスケースには似合う作品だろう。

・奥野侯子「花」の小品数点は、楚々とした感性で、安らぎを覚える作品。大作に取り組む傍ら、このような作品は心を落ち着かせてくれるもので、一般家庭の玄関などに何気なく飾りたい作品。

・工藤幸俊「静寂」は、渓流の流れを自然体で描写した作品だが、自然観察が細やかで生き生きしているところに描写力を感じる作品である。

・佐々木茄鈴「土に還れば皆同じ」というニヒルな題名の付いたF10号ほか2点で、未だ模索中の作品であろうが、初々しい静物構成、人物描写の彼方に仄見える確かな展望がこれからの道を示しているようだ。

・馬場静子は作品に一段と風格が出て来てますます冴えをましている。細部に揺るがせにしない精神の張りがこの人の作品を輝かせているのには敬服する。数少ない当地方の日本画の伝統を継承する若い世代を、何とか育ててほしいものである。

・注目は遠藤佳代子、山本孝子、千代真奈美の女性三人の若手。若手と言ったのは年齢のことではなく、作品に向かう若々しい精神性のエネルギーのことである。老舗公募展の今後を予兆する確かな手応えが、諸作品に横溢しており、飛躍が期待されるトリオ。まさに停滞ムードを跳ね返す発条になる中核であろう。

・高橋マサ子の大作は、暗青色の空間に一筋の道を暗示する抽象画構成でこれはこれで佳いにしても、現在の重々しい時代には、暖色が支配する明るい背景を基調にすると、訴えて来るものの希望を暗示させるもので、暖色7割、寒色3割に配分を変えれば、一段と冴えを増すように思うがどうか。

・いずれにしても、各自一つの峠を超えようとする意志を感じる支部展であった。
 一首献上したい。

 ・海霧(じり)深き街の屋根屋根おぼろにて海鳴る季節を絵筆にたくす
                        石塚 邦男

http://6928.teacup.com/377612377612/bbs


新着順:75/301


お知らせ · よくある質問(FAQ) · お問合せ窓口 · teacup.レンタル掲示板

© GMO Media, Inc.